へ吸いこまれて行った。
 守人にかけ寄った安兵衛、傷は重そうだが、まだ息があるようだとみると、ひとり何事か決意したらしく、ぐったりしている守人のからだをかついで、影屋敷とは反対の側の草原へはいりこんだ。
 隠れて介抱する気と見える。
 このとき、坂下から急ぎ足に近づいてくる二つの人影があった。安がこっちから見ているとも知らずにその二人も影屋敷の門に消えた。
「ははあ! 三人ともこの屋敷へはいったな。裏はすぐ饗庭の庭につづいている。こいつあ臭《くせ》えぞ」
 一時、守人を忘れて、安が向こう側をにらんでいると、また一人、いつのまにか闇黒《やみ》から現われて、その門前に立っている男がある。
 暗いは暗い。が、何ということなしに、安の眼には親しい姿だった。で、音を忍んで声をかけてみた。
「親分――じゃあござんせんかえ」
「おう、安か。そんなところに何してる?」
「怪我人《けがにん》です。あの死に花の若衆で――」
 文次は草を分けて近づいて来た。
「え? 死んだのか」
「いえ。どうやら見込みがありそうで」
「そうか。それあよかった。よく見てやれ。大事な身柄だからな――そりゃあそうと安、いま二人あ
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