の首か」
「いかにも!」
「わっはっはっはは」笑い出した銀二郎である。「でかしたぞ。首とはよかった。うむ、持って行け、といいたいが、こんな古い薄ぎたない首でも、おれにはまだすこうし要があるでな」
「未練なことを申すな。そっちに、拙者のみといわず、同藩の者には首をねらわれる覚えがあろう?」
「これこれ、篁、そ、そんな堅苦しいことをいうものではない。おぬしはまだ若い。若いから一本調子だ。だがな篁、世の中はそうむき[#「むき」に傍点]になってもいかんものだぞ。
なるほど、書を読み眼を開いて大勢を観ずる者、誰しも一意向、一家言を有するのは当然だ。それによって討幕もよい。勤王《きんのう》も面白かろう。佐幕もまた妙じゃ。が、しかしなあ、世のことおおむね理屈《りくつ》ではない。まわりまわって帰するところ、要するにこの身一個のやりくりだ。な、篁、そうではないか」
「えいっ! この期《ご》に及んで何を――」
「まあ、聞け。斬るのはいつでも斬れる。それよりも心の持ちようだ。思い詰めれば何事も途《みち》のふさがるものだが、一転機に立って勘考方《かんがえかた》を変えてみれば、なんだつまらねえ、何もやきもき[
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