邦之助はその十五、六人集まっていた水戸藩の人々を一人も発見することができなかった。
では、かれら志士はいったいどこに隠れたのか。
答えは簡単である。
家の中? もちろん家の中だ。
「屋根うら――も見落としはしなかった」
と邦之助は考えているし、じっさい捕手《とりて》の四、五人が台所の梁《はり》の上から天井裏へはいりこんで、隅から隅まで見届けて異常なしと復命したくらいだから、まったく「見落とし」たわけではなかったが――いや、やっぱり見落としたのだ。
というのが、天井裏は天井裏でも、その天井うらが二枚になっている。これが方来居のからくりであった。
老主玄鶯院が無言で捕吏《ほり》をにらみつけながら新太郎を寝かしていた奥座敷に、上へついた違い棚がある。これが通路だ。
黒くなった銀紙の戸棚をあけると、手もとの右側の柱のかげに、一本の紐《ひも》が下がっている。これを引くのだ。
これを引けば、ぐっと手ごたえがあって、戸棚の天井が一枚の板となって釣り橋のように口をあけるであろう。ひとりずつ静かに上がりこめばわけはない。
上がり込んだ上は、下から見た天井と、上から見た天井とのあいだに、
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