ているうちにとんとんとんと運んでどっちからともなく手が出る。お約束に従って大立ちまわりの場となった。
 はじめから負けるために出張っているんだから世話はない。
 ちょいと手がさわるが早いか、どいつもこいつも思い切りよくそっくり[#「そっくり」に傍点]返る。
 やっ!――ずでんどう。
 ええっ――すってんころり。
 まるで柔術《やわら》の乱取りのありさま、一人を中に起きたり倒れたり、誰が誰だかわからないが、景気のいいことこのうえない。なかにこすいやつは、ひとり勝手に尻餅《しりもち》をついて、
「参った!」
 いや、このほうは手がかからない。
 組んずほぐれつといいたいがてんで組まないのだからしょうがない。取っては投げ、取っては投げ、さながら男は無人の境を往くようにあばれまわる。
 ほうられ続けて腰の立たない一同が、首を上げて見ていると、男が女をいたわってはるか下手の町角を曲がって行った。
 あとには不平たらたら。
「畜生、さんざ痛え目にあわせやがった」
「帝釈め、女に礼をいわれてることだろうが、礼ならこっちへもらいてえもんだ」
 すると、坊主頭が、
「おい、間抜け、これあひょっ[#「ひょ
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