ろうはずがない。友だちを取って投げて、女にありがたがられて、きれいな身柄を二、三日預かって、そのうえ殿様からはたんまり[#「たんまり」に傍点]御褒美《ごほうび》をもらう。こんなうまい話はまたとあるまい。
帝釈《たいしゃく》丹三と異名をとった三角の眼をくりくり[#「くりくり」に傍点]させて、丹三が勇躍したのももっとも至極。頼まれた仲間にしたところで、ちょいと女をこづいてから、痛くないようにころがりさえすれあ、殿様が酒代《さかて》を下しおかれるというので、みんな手をたたいて喜んだ。
「丹あにい、お手やわらかに願えやすぜ」
「芝居《しべえ》ってことを忘れねえように。なあ丹さん、頼むぜ」
「おらあ右手をくじいてるんだ。帝釈の、やんわり扱ってくんねえよ」
というわけで、それ[#「それ」に傍点]っとばかりに女を追っかけると、遅れて丹三が、にわかに強くなって、いい気持ちそうにぶらり[#「ぶらり」に傍点]と出かけたのだった。
だから、坊主頭をはじめ投げられ役の一同、実はさっきから、まだか、まだかと丹三の出を待っていたのだ。
そこへ今の声だ。
「待て。その女に用がある」
と筋書きどおりに来たか
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