るぞ」
「よく――よく降りますね」
「うん。青い物が助かる」
「青い物が助かります。旦那、お先へごめんやす」
 裾をまくって頭からかぶった御免安、達磨《だるま》に足が生えたような恰好《かっこう》で、野田屋の店をとび出した。
 同時に、守人もたった。
 おっ取り刀である。
「老爺、今の男は定連か」
「いえ、初めてのお顔でございます」
「よし!」
 うなずくが早いか、ばらりとそこへ小銭をつかみ出して、物をもいわず守人は外へ出た。
 さっきの人数を呼び返す気であろう。暗黒をのぞきながら、安兵衛が駈けて行く。
「おのれっ! 見んでもいい物を見おって――いらぬ筋へ忠義立てする気だな。ひょっとすると不浄の小者であろうも知れぬ」
 ぷつり、帰雁の鯉口《こいぐち》をひろげて、ぴしゃぴしゃ――守人は飛泥《はね》を上げて追いすがる。
 雨脚が太くなった。

   犬もあるけば棒にあたる

 守人はあきらめた。
 泥濘《ぬかるみ》をとび越えて走って行く御免安兵衛の姿は、鳥羽絵《とばえ》の奴《やっこ》のような恰好に、両側の家をもれる灯のなかにおどったり消えたりして、見るみるうちに小さくなる。
 やがて、浅茅原
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