事といえども容赦はしない、出方によつてうんと云いこめてくれようというようすが見えた。
「いや、そう君興奮しちや困るね、私は君が引出しを開けたか、ときいたわけじやないんだ、あけようと思えばあけ得る立場にいたのだねという意味を云つたまでだよ」
「僕、あけようなんて思つたことは……」
「それならそれでよろしい。時に君は、叔母さんが西郷薬局に風邪薬を注文したことは知つていたかね」
「全然知りません」
 伊達はぶつきらぼうに云つた。
 それから二、三の点について問答があつたが、やがて検事は伊達に引き取つてもいいという許しを与えた。
 次によばれたのは年ははたち位の当家の女中で佐田やす子という者であつた。美人とは云えないが十人なみの容色、ただ昨夜からの椿事がすつかり彼女の気持を顛倒させている上に、検事や警部という厳《いかめ》しい役人の前に出たため、青ざめきつておどおどしていた。
 彼女に対する検事の問はわりに簡単だつた。
 昨日薬をとりにやらせられた話に止《とど》まつていた。
「私は御当家にまいりましてからちようど十日にしかなりませぬ。昨日の午後、時間ははつきりとはおぼえませぬが、さだ子様――二番
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