つたのだね」
「まあそうです。いや、まあ[#「まあ」に傍点]じやありません。正にそうです」
「うん、そうか。では今ではその邪魔者がなくなつた、というわけだな」
 検事はどういうつもりか、こう云つて伊達の顔をじろりと見た。
 しかし、伊達の顔色には少しもこの言葉からの動揺は見られなかつた。
「それから君はさだ子と入れかわつたのかね」
「僕がさだ子にその話をするとさだ子は驚いて叔母の部屋に行きました」
「すると君はさだ子の部屋に一人残つたわけだね」
「そうです」
「どこに君はいたね」
 この問は伊達には何のことやらちよつと判らなかつたらしい。
「さだ子さんの机の前に腰かけていました」
「すると君はさだ子の机の引出しを開けることが出来たわけだね」

      17[#「17」は縦中横]

 この時、伊達の顔にはさつと血の気があらわれた。
「何、なんですつて? 机の引出しを開ける? 僕、これでも紳士のつもりですよ。女の人の、ことに婚約者のいない留守にその人の秘密を知ろうなんてした事はありません。さだ子さんだつて僕がそんな事をしないと信じているから、僕を一人部屋に残して行つたのでしよう」
 検
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