もつもの、あにただ私一人ではあるまい。
「林田英三? ではここに来られても差し支えないと伝えてくれ給え」
 検事が緊張した面持で笹田執事に云つた。
「はい、あの私もあらかじめそう申し上げましてすぐこちらへお通し申すよう申したのでございますが、林田先生のおつしやるには、お調べのお邪魔をしても悪いし、又旦那様方におたずねしたいこともあるから御遠慮するということなので応接間で今旦那様とお話しておいでになります」
 この事件の直後、ややおくれて登場した林田探偵は、一刻も早くそのハンディキャップを取り返すべく、すでにもう秋川駿三の訊問を開始しているものと見える。まことに、聞きしにまさる敏腕さではある。
「そうか。では、あと初江と駿太郎という人がいるがこの人人は何も知らなかつたようだから、ではと……伊達正男をよんでくれ給え」
 笹田執事はかしこまつて部屋を去つた。
 まもなく入口にさつきの立派な青年が姿をあらわした。
「僕、伊達正男です」
 極めてはつきりした口調でそう云つて検事の示した椅子に腰をおろした。そうして検事の問に対して次のように語りはじめた。
「僕は小さい時から当家で育てられました。こ
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