ず間違いなしだね。自殺ではないらしい。自殺とすれば徳子がどうして昇汞を手に入れたかを先ず考えなければならん。又、同時に、それなら西郷薬局から届けた筈のアンチピリンがどこかに残つているか、あるいは両方とも徳子の胃にはいつたとしても、アンチピリンを包んだ紙が残つていなければならない。今まで調べた所では、徳子は薬局から来た薬を何も知らずにのんだとしなけりやならん。しかし、薬局ではたしかに解熱剤を作り、これが間違いなくこの家に来たとすると、それが徳子の口にはいるまでにいつのまにか昇汞に変じたことになる」
検事はこう云つて朝日の煙をふきながら藤枝の方を見てにやりと笑つた。
「いや、もつと正確に云えばだね。西郷という男が解熱剤をまちがいなく作つたとすれば、それが袋にはいつてから、徳子の胃にはいるまでに昇汞に変つたというわけだね」
藤枝が検事に対してはじめてこう云つた。
「うん、そうだ。薬局からこの家に来るまでに変つたか、この家に来てから変つたか、これが大問題だからな」
検事がまた、にこやかに藤枝に云つた。
「じや、長女に来て貰おうか」
ふと気をかえて検事が警部にこういうか、いわないうち、ド
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