にひつかかつていたかを説明した。
 こうやつてやつとのことで両者間の誤解を解いたのである。
 幸にして、好漢伊達正男の存在が、これが為には極めてよい効果を表した。
 彼は、あらぬ疑を身に受けてさんざん苦しみ抜いたが、さすがにスポーツマンらしく朗かさと明るさを失わなかつた。ただ自分のはじめて知り得た過去を思つては一時全く暗い気持になつたらしいけれども、それも間もなく回復したらしい。彼にして見れば、恋しているさだ子から疑われ、その姉のひろ子から怪まれたということは、償い難き傷手であつたろうが、すつかり姉妹の間がとけると彼は男らしくすべてを水に流してほんとうに心から明るくなり、はては自分から進んで姉妹の間を一層よりよくするようにさえ努力した。
 その結果、林田の死後三日目には、秋川家にはじめて明るい朗かな笑声がきこえるようになつたのである。
 ひろ子は、いつの間にか宏壮な邸宅と八十万の富の所有者となつてしまつた。しかし彼女はやがて間もなく実現すべき、伊達正男、秋川さだ子の結婚を機としてその富の半分を譲ることをわれわれに発表した。また里村千代の気の毒な娘に対しては、伊達が全責任を負つてやること
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