三に伝わつた血統だ。もつとはつきり云えば山田家のいやな血統だ。山田信之助はあの宿命的な三角形を形造ることによつて非常な不幸を生んだ。駿三はその子である。青年時代に見込まれて秋川家に入つただけあつて彼は相当な手腕家となつた。一代にして巨富を積んだ。しかも彼はやはり山田家の不幸な血をうけていたのだ。それは何というか、いわば好色とでもいうか、ともかく異性との問題については父同様の弱者であつたという事である。彼はすでに述べた通り、伊達捷平の妻と不義を働くようになつた。しかもまもなく、また他の女との間にさだ子という娘を作つてしまつたのだ。僕は、最初、三人の娘の顔を見た時に、さだ子はことによると徳子の娘ではないのじやないかとちよつと感じた。この疑いは、初江とさだ子だけがたつた一つ違いだという点で一層はつきりするが、後にひろ子の話によつて全く明らかになつた」
「ねえ藤枝、一体さだ子の母親は誰だろう」
「さあ、それは判らない。芸者かも知れない。あるいは素人かも知れない。僕には全く見当がつかない。しかしこれを知る必要がないではないか。いずれにしても駿三の過去の秘密だ。彼がかくしおおせてこの世を去つたのだ
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