電話で探りを入れたんだが、奴、自殺する道連れをえらんだんだよ。無理心中の相手にさだ子をえらんだつていうわけさ。それに、僕が昨日になつてはじめてこの手段に出たことには決して手ぬかりはないつもりだ。第三の事件以後、僕が彼を犯人なりと信じてからは、確実に秋川一家の人達を守つたつもりだ。今朝のさわぎをのぞけばね」
成程そういわれて見れば、第四の事件は殺人事件ではなし、結局、殺されたのは初江が最後ということになる。
10[#「10」は縦中横]
「これで秋川家の怪事件の物語は一通り君に説明したつもりだが、どこか判らない所があるかい」
藤枝はシガレットを立てつづけにくゆらしながらにつこりして私を見た。
「何だか、まだはつきりしないというような様子をしているね。そうそう、あれだろう、ひろ子がグリーン・マーダー・ケースをどうしてあんな時に読んでいたか、ということが不思議なんだろう」
「うん」
「それに就いては、一応あの家の人々の心理状態を説明しておかなくてはならん。僕はさつき遺伝[#「遺伝」は底本では「遣伝」]という事の恐ろしさを警察でちよつと口に出した筈だ。ほんとに恐るべきは秋川駿
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