しまつた。これで、今までのいきさつはすつかり判つたが、肝心の林田に対する証拠というものが、全くなくなつてしまつた。では一体われわれはどうすればよいか。
「蓋しこれは今まで提供された中で最大の難問題である。どの角度からながめても、林田をとつちめる方法が見つからない。目の前に犯人を見ながら手をつかねていなければならない。一方彼は非常に危険性を増している。ここで僕が最後に思いついたのが、彼を自滅させる、という一手だ。結局、僕らは彼に自殺してもらうより外に方法をもたないのだ。情無いけれどこれが法律の力の限りだよ」
 ビーフステーキの残骸をボーイが取り片付けると、藤枝は次に出て来た果物には手をつけず、すぐ紅茶を口にしつつ、つづけた。
「自殺させるたつて、これが決して生やさしい仕事じやない。まして僕自身が法律家である以上、自殺教唆を公然とやるわけにはいかん。その結果、僕の用いた手段は君が親しく見た通りだ。昨日、君と夕方別れてからの時間を利用して僕はまず僕の推理を余す所なく書き記して見た。つまり林田英三の犯罪なるものを全部書きつけてこれを封入し、君と一緒に彼の家に出かけたわけだ」
「じや、あのノンセ
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