に今いるか。しかして一体林田が何故秋川家をあんなに呪つているのか、ということだ。それを明らかにすればあるいは何か確たる証拠を掴むことが出来るかも知れないと思つていたのだ。

      5

「僕は一刻も早く自分で林田の故郷へ行かなくちやならんと決心した。ところへあの発熱で床につかなければならなかつた。この間に、しかし面白いことが判つた。それは早川辰吉の性質だよ。彼が変態性慾患者だということだ。(第三の悲劇第十回参照)あれで僕はますます林田犯人説のたしかな事を信じた。そうだ。林田ともあろうものが、どうしてやす[#「やす」に傍点]を殺すのにあんなにあわてたか。必ず彼の計算のどこかに誤りがあつたに相違ない。とすればどこだろう。ここにやつと解決が与えられた。すなわち林田はやす[#「やす」に傍点]の辰吉に対する気もちを誤解したのだ。しかし相変らず証拠はなく僕はただ君に注意するより外仕方がなかつたのさ」伊勢海老の皿がさがると、大きなビーフステーキが出て来たのでわれわれはしばらくその方を片付けにかかつたが、やがて藤枝は語りつづけた。
「二十五日にとうとう初江が殺されてしまつた。最初あれを聞いた時は
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