を顔色で表わしてしまう。さだ子の如きは、僕より林田を信用している関係から、あるいは僕の考えを林田に告げるかも知れない。そうすれば事はますます危険になる」
「というのは?」
「君は佐田やすが何故殺されたか知つているだろう。もしあの頃林田が自分に嫌疑がかかつていると悟れば、彼はまず第一に、あの二十日の夜、アリバイを立てさせたさだ子を殺すにちがいないんだ。さだ子がまず早速危険に陷る。だから林田を疑つていることは決して本人に悟らせてはいかん。実に秘中の秘なんだ。これで僕が自分の考えを誰にも洩らさなかつた理由が判つたろう」
「では君は怪しいと信じただけでいかんともすることが出来ず、ちようど刑事がすりを捕えるのと同じように次の被害者の出来るまで待つていたわけかい」
「じようだんじやない。人の生命は蟇口とは違うよ。いくら何でも僕は第三回の殺人を待つていたわけじやないんだ。しかし、現今の法律の立て前として、あの智力優秀な林田に対してあれ以上何が出来るか考えて見給え。僕はただ心配して最後の謎を解こうとしていたのだ。最後の謎というのは、脅迫状は一体誰から最初来たか、伊達夫婦の身寄りの者とすればその者は何処
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