』かも知れない。『では私が犯人だという証拠をあげて下さい』と来る。そうすれば警察も検事も一遍にダアだからな。それも通常の犯人ならいざ知らず、林田程の者ならばどうにでもして嫌疑から逃れることを知つているよ。証拠のない殺人! この位始末の悪いものはないんだ。」
「成程、訴え出ない理由は判つた。それにしてもそれならばせめて警部にでもその話をしておく方がよかつたのじやないかな。でなければ将来被害者たり得べき三人の娘にでも警告しておくのが正当だつたじやないか」
「君は警部のあの頃の考え方を思い出していない。のみならず警部をして確信せしめるためにはやはり確たる証拠を必要とするのだよ。警部はすなわち法律家の一人だからな。それを見せない限り、僕の云うことは寝言とより外考えられなかつたに違いない。現に今日、さだ子の首をしめたのが林田と判つていてすら警部は未だ信じ切れぬようすだつたじやないか」
「それじや娘に警告するという方は?」
「なおいけない。娘にばかりじやない、君にもかくしておかねばならなかつたんだ。君でも三人のお嬢さんたちでも皆正直すぎる。もし林田が犯人だという事を聞かされれば、君らは必ずその様子
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