、その他から考えて、犯人は非常ないい頭の持主である。
[#ここで字下げ終わり]

      2

「しかし、何故、僕がこれだけの点を確信したかということは今更いうまでもなく、今までの僕の言論で判るだろう。そして、ここに重大な疑問が一つ残つている。それは、犯人は如何なる力をもつてあれまでやす[#「やす」に傍点]に沈黙を守らせていたか[#「沈黙を守らせていたか」に傍点]、ということである。この点は僕にどうしても判らなかつた。しかし、意外にも早川辰吉が出現した。そして十七日に彼女に会つたことが判つたのだ」
「うん、そうそう、そう云えば君は辰吉が捕まつた日にすぐあいつに十七日にやす[#「やす」に傍点]にあつたろうときいたがあれは出たらめじやなかつたのかい」(被疑者第四回参照)
「無論出たら目ではない、やす[#「やす」に傍点]はあの日誰かに会つていたにちがいないと僕は考えていたのだ。だから辰吉の供述をきいてるうち、彼だとさとつたのさ。しかし辰吉があの犯人でないことはよく判つていた。とするとだ、佐田やすはあの日に辰吉以外にもう一人誰かに会つていたことになる、それは誰だろう、ここで僕は第一に伊達を
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