たつていない。この間に林田が、犯行を行つてすぐ家に帰つているという事は絶対に不可能だ」
「成程」
「君はあの時僕が何故、林田をいきなりよんだか、その理由が判るかい」
 私には、ただ藤枝がいつにもなく大あわてにあわてた光景しか思い出せなかつた。
「僕は第三の事件の時、犯人は林田だと確信したんだ。これに就いては今いうが、ともかく確信した。ところが駿三がやられた。君にきかせて見るとちやんと彼はうちにいる。驚かざるを得ないじやないか。さては今までの確信は誤りだつたか、と思つて僕はほんとにあの時あわてたんだよ」
「そうだつたのか。しかしあの時林田もあわてていたぜ」
「それさ。死体解剖の結果と、あの時の林田のあわて方で再び僕は自分の推理が正しかつたという確信をとりかえしたんだ。林田だつて驚くのは当然さ。彼のプログラムに従えば駿三を最後にやつつけるつもりだつたのだ。ところがその駿三が彼が家にいた間に、誰かに殺されてしまつた。しかも、それが偶然にも彼の予言した五月一日に行われたのだ。(秋川一家と惨劇第四回参照)林田たるもの驚かざるを得ない。あわてざるを得ないじやないか。(第四の惨劇第十二回、意外な事実
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