に殺されたとしても、何故林田に殺されなければならないか、ということはわからなかつたはずだ」
「かりに殺されたとする[#「かりに殺されたとする」に傍点]?」
 警部が驚いて云つた。
「かりじやない、現に殺されたじやないか」
 今度は私がきいた。
「うん、君らは第四の事件もやはり林田のやつたことだと思つているのかい」
「林田でないとすれば犯人は一体誰だ。伊達かい」
 検事がおどろいてきく。
「あれには犯人がないんだよ[#「あれには犯人がないんだよ」に傍点]。あれは殺人事件ではないよ[#「あれは殺人事件ではないよ」に傍点]。では諸君、五月一日の事件の説明にとりかかろうか」

      4

「ねえ小川君、あの日、すなわち五月一日にわれわれが駿三の死体を見た時、僕はすぐ君に林田の家に電話をかけて貰つたはずだね」(第四の惨劇第十回参照)
「うん、そうだつた」
「そしたら確かに林田は自分で電話に出たろう」
「うん、うん」
「ところで林田の家と秋川家との距離は、自動車をかなり早くとばしても相当な時間がかかる。かりに駿三があの部屋にはいつた途端に殺されたとしてもわれわれがあそこに行くまで五、六分しか
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