だ子を疑つたに相違ないのだ。この点から云つても、初江が次の被害者になつた理由が理解出来る。そこでもとに戻つて殺人の順序をいうと、四時半に四人が戻つて来た。そこへ木沢氏がやつて来て、ポケットから散薬を取り出し、皆の前で――すなわち林田の面前で『じやこれを夕食前三十分にのんで下さい。夕食は六時ですか。じや、五時半位に一つのんで下さい』と云つた。(風呂場の花嫁第一回参照)これを林田はちやんときいていたのだ。つまり五時半に初江という人が木沢氏からもらつた薬を呑む、ということをよく心におぼえておいたに相違ない。ところで木沢氏が秋川邸を引取ると、同時に、林田が『ちよつと用があるんです、すぐ戻つて来ますよ』といつて一緒に出て行つた筈だそうですね。木沢さん」(風呂場の花嫁第一回参照)
 今まで黙つてきいていた木沢氏はこの突然の質問にいささか面喰つたようだつたが、すぐ当時を思い出したと見え、はつきり答えた。
「そうでした。私がお邸を出ると一緒に林田さんも出て来ましたよ」
「どこまで一緒においででしたか」
「何、すぐ別れてしまつたんです。私はブラブラ歩いて帰りましたが、林田さんは流して来た円タクを掴えると
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