た。二十日から五日ある。此の間の秋川邸の人々の心の動きがまた中々興味があるけれどその辺は長くなるからとばすとして当日の模様から説明する。御承知の通り、あの頃、僕は熱を出して床についていたため、実際自分で前後の事情を見ていたわけではないが、幸い小川君が非常に詳しくその有様をおぼえていてくれたので大いに助かつた。
「あの日、林田、ひろ子、初江、小川がドライヴをした。この日、初江の胃が悪かつたという事実を木沢医師が、小川、林田の前ではつきりいつている。林田はこれをきいて又チャンスあらば、と心ひそかに考えたのだ。ドライヴは初江の胃痛の為きり上げられて、夕方四時半に四人とも帰宅した。いつも出て来る筈の笹田が出て来なかつたので、笹田はどうしたのかと林田が先ずきいた。(第三の悲劇第十二回参照)これはこの家の中で犯罪を行う以上、家の中の人々の動静を知る必要があつたからだ。ところが林田の為には幸いにも笹田はその日の午後からずつといなくなつていることが判つた。ここでいよいよ彼は決心を堅めたのだろう。
12[#「12」は縦中横]
「さてここでまた奥山君にはいやがられるが、犯罪人の個性の具体的
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