#「犯罪人の愚挙」に傍点]をここでやつてるから面白い。彼は自分が家の中から出て、又はいつたものだから、僕がいきなり家の中の人を疑うと思つたんだね。従つてスリッパを一つ一つ調べるとこう考えたのだよ。彼は僕の頭脳をはかるのに二度失敗している。一回は馬鹿にしすぎた。一回は買いかぶり過ぎたんだ。レコードのトリックね。あれは少々僕の耳を無視した話さね。自分に音楽が判らないからと云つて僕にまで判らぬと思われちや困るよ。ショパンの葬送行進曲位は僕だつて知つている。レコードを調べなくたつてちやんと耳できいているんだ。所がスリッパの点では少々買被られちやつたよ。成程、僕としてはあの時すぐスリッパを調べるのが賢明だつたかも知れぬ。しかし探偵小説に出て来る名探偵でない限り、そんなに頭が働くものではない。君も知つてる通り、あのスリッパの件は全く偶然のきつかけで発見したんだ。(惨死体第五回参照)林田先生はこの偶然を知らなかつたのだよ」
「そうか。それでまず第二の惨劇はわかつた気がする」
私がこう云つた時、検事も警部も同感という顔をした。
「では次に第三の事件にとりかかろう。第三の事件は四月二十五日の夕方行われ
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