いつて行つた。この時、警察の人々は庭、僕と小川君は裏門の方を廻つていた。林田は誰にも見られぬようにピヤノの部屋にはいる。はいつて見ると幸にも庭に面した窓のブラインドがかかつていて外から中が見られぬようになつている。これは、ひろ子が何の意味もなくやつたことだつたが(藤枝の観察第三回参照)彼にとつては中々有意義だつた。彼はそこでパデレヴスキーのレコードを取つてハンカチか何かで、はじめの方を極く僅かきれいに拭い、そこまでしか針が進んでいなかつたように見せた。だからあとになつてからあのレコードから僕と林田の指紋が出て来たはずなんだよ。(殺人交響楽の項参照)そうしておいて、日本座敷に来り、今云つたさだ子のためにアリバイを立証して、自身を守つた後、ひろ子に土のついたスリッパの話をして(藤枝の観察第四回参照)さつさと秋川邸を出て行つたのだ。どうだい。これで、第二の惨劇の説明ができたつもりなんだが」
プカリと煙を吹いて藤枝は一座を見廻した。
「うん、よく判つた。それにしても腑におちない所が三つある。第一に何故林田は駿太郎の死体にあんな細工を加えたか。第二、レコードのトリックは何を意味するのか。第三、
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