「林田のプランはこうだつた筈だ。まず草笛のサインでやすが庭の暗い所に行く。それをあとから行つて、ただちに扼殺する。この間早川辰吉は馬鹿な顔をしてポストのかげにかくれて待つている。そのうち、家の中で事件が発覚すれば、ただちに周囲が警戒され、従つてこの際、辰吉が怪まれて捕まる。いや辰吉が捕まらないでもともかく、自分には危険が来ない。とこういうのが彼の計算だつたのだ。ところがこの計算が外れて辰吉が邸内に侵入した。それが為林田は、早川辰吉に、自分が庭に出る所を見られている。ただ辰吉が狼狽していたために彼をはつきり認めなかつただけで、実は林田に取つては、興廃この一挙にありという所だつたんだ。しかるに全く偶然にも彼はこの危険を脱出した。と同時に、危険が一変して安全となつちまつたんだ。見給え、高橋警部は、侵入した早川辰吉を今まで怪しんでいるじやないか。実際あのきわどい所をうまく逃れたのは全く林田の悪運の強い所だつたんだ。さてそこで、元に返つて林田の行動を話そう。彼はさだ子の部屋で、僕の呼ぶ声を聞くとあわてて飛び出して来て、二つの死体を調べはじめた。それから警部刑事が来てからずつとガラス戸の入口からは
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