で大体よく判つた。しかし林田ともあろう者がしたことにしては大分手ぬかりがあるね。君はさつき、レコードをかけつぱなしにさせたのは駿太郎の消失の発見を少しでも長びかせるつもりだつたと云つたのに、事実は予期に反して、逆な結果を生んだが、あんなのは林田にも似合わぬ手おちじやないか」
 高橋警部がきき出した。
「うん、それについてはかつて大凡の意味を小川君には云つてある。林田は第一の犯罪を完全に行つた。しかし第二の犯罪は派手にはやつたが、大分不完全に行つている。いや手ぬかりだらけだ。これは林田の心理上の問題だよ。(殺人交響楽の項参照)彼はやす[#「やす」に傍点]の心理状態を誤解した。その結果、急に第二の殺人を行うことになつた。その必然の結果として第二の殺人は不用意だつたのだよ。君に云われるまでもなく、林田はもつと、とんでもない危機にぶつかつている。全く偶然に逃れたのだが彼は早川辰吉が庭の中にはいりこんで来るとは想像しなかつたのだ。僕の考えに従えば、彼は辰吉がやす[#「やす」に傍点]の紙ツブテに従つてポストのかげにかくれていることを予期していたのだよ。

      10[#「10」は縦中横]


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