が庭の方に歩いて行く。あとをつけようとしたが暗くてわからぬので断念したが、どうも伊達のようすがおかしい。しかし、私はあなた方に好意をもつているのだからこれは秘密にしておいてあげる。またあなたも知らぬ振りをしていらつしやい』こういうことを云つたんだ。その途端、僕が庭から声をかけたので、彼は何くわぬ顔をして二階から顔を出したのさ。そうして今度はまつすぐに下りてまたスリッパ[#「スリッパ」に傍点]のまま庭に出て来た。この騒ぎをきいて、さだ子はぎよつとする。もしや……伊達が……と疑う。この疑いはすでに第一回の事件の時に、さだ子の心には多少あつた。彼女が、十七日の夜、自分の書斎に伊達が一人でいたことをかくしていたのは無論、多少ともこの疑惑があつたからさ。今度の第二回目の事件でいよいよさだ子は伊達を疑い出した。ここで、順序がちよつととぶが、林田のアリバイをもうすこし説明しておく。

      9

「彼は、僕が死体を発見して庭からどなつた途端、二階のさだ子の部屋の窓から首を出している。これで外見では立派にアリバイが立つたわけだ。実は彼は一度危機に迫つている。それは小川君とひろ子が駿太郎の行方を探
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