うのだ。一旦部屋にはいつた林田は、何とか用事にかこつけて、さだ子にはそこにいるように命じて素早く誰にも見られずに下りて来た。さだ子には多分伊達に用があるように云つたと思う。それから例のガラス戸の入口から庭にスリッパのまま[#「スリッパのまま」に傍点]外に出た。途端に、駿太郎に見付かつたんだ、無論林田を見て駿太郎が驚く筈はない。しかしこのままほつておけば林田は万事きゆうすだ。そこで窓の下から声をかけて面白いことがあるからいらつしやい位の事でさそい出したんだよ。その時レコードをそのままにしておくこと、ドアをちやんとしめて来ることを注意した。駿太郎はこの注意を忠実に守つたわけなのだ。駿太郎が出て来ると彼は東側にやすがいることを知つているので駿太郎をつれて西の側に行つた。森の中にはいるや否やいきなり石をとつて不意打を食わしたんだよ。駿太郎はウンともスンとも云わず昏倒する。これを見て彼はいなづまのようにやす[#「やす」に傍点]の所にかけつけた。この時やす[#「やす」に傍点]は早川辰吉に別れたばかりで多分林田が駿太郎をつれてこつちに来るのを見ていたかも知れない。しかし無論自分の危険に気がつかなかつ
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