自分のアリバイの証人にみこんだんだよ。この点さすがは彼だと僕は感服していたのさ」
「君は無論さだ子のことを云つているのだろうが、では一体彼如何なる力をもつてさだ子に、アリバイを立てさせたんだろう」
 検事がつつこむ。
「そこだよ。さつきの僕のおしやべりを君はいやな顔をしてきいていたがね。やつぱり君にも判つていないじやないか。僕は云つたろう。第一楽章に恋する女性の心理を利用する[#「第一楽章に恋する女性の心理を利用する」に傍点]というテーマがひびいていると同様に、第二楽章に同じテーマが現れているとね。つまり、この時、林田の用いた方法は、対佐田やすと同じテーマのヴァリエーションに過ぎないよ。彼は、さだ子の伊達に対する恋愛を利用したのさ。

      8

「判らないかい。ではまず事実の進行をさきへ物語ろう。林田はおそらく一度二階に上つたに相違ない。そうして多分彼の云つた通り、そこで彼はさだ子と伊達が話している所にぶつかつた。さだ子に用があるから、と云つて伊達にすぐに帰るように云い、林田はさだ子と共に部屋にはいつた。ここまでは林田の云う通りに違いない。(惨死体の項参照)ただそれからが大分違
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