で主人を調べはじめたか。これは今から思うと非常に重大な点なのだ。(悲劇を繞る人々第十六回参照)実は彼、何より先に佐田やすの様子が知りたかつたのだよ。つまり、自分のいつた言葉の効果を見極めるのみならず、自分の言葉を更に強調したんだ。林田はあの日、下でやす[#「やす」に傍点]を訊問すると称して、また一そうおどかしたのだろう。十七日の彼の言葉の力で、われわれがいきなりやす[#「やす」に傍点]を調べた時にやす[#「やす」に傍点]は既に嘘をいつた。そこへもつて来て林田が又うんとおどかしたんだ。貴様がうつかりしたことをいえば早川という男が捕まるぞ。しかしお前がだまつていれば俺がかばつていてやる、というようにもちかけたのさ。君らは、早川辰吉の供述中四月二十日にやす[#「やす」に傍点]に秋川邸の庭で会つた時、やす[#「やす」に傍点]が辰吉に自分にたつた一人親切にしてくれる人があつて自分をかばつて[#「自分にたつた一人親切にしてくれる人があつて自分をかばつて」に傍点]くれるという言葉があつたのをはつきり思い出すだろう。(被疑者第八回参照)可哀想にやす[#「やす」に傍点]は、林田が自分を利用しているとは思
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