。それからあと、秋川家で起つた事件は御承知の通りだ。偶然にも夜になつて母とさだ子が争いはじめて、林田の予期しなかつた位うまくことがはこんだ。あの夜の事についてはひろ子の供述が一番信頼出来ると思うよ。
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「彼女が何故あんなにおそくヴァン・ダインを読んでいたかは後に説明する。が、これは不思議なことだが、にもかかわらず事実だ。さだ子も、夜ねついた時の事は真実と云つている。それからあとの出来事は御承知の通りさ。
「十八日になつて林田はことがうまく行つたことを笹田執事の迎えで知つた。すると彼はダイ一カイノヒゲキハオコナワレタリ、云々という手紙を三通タイプライターで打つて持参し、同時に一方僕に『五月一日を警戒せよ』というあの手紙を郵送しておいて秋川邸にかけつけた。門の所で、執事をさきに中に行かせ、郵便受箱に、自分宛、僕宛、秋川駿三宛のさつきの脅迫状を投げこんだのだ。これで、あの日、僕らの所に脅迫状が来たわけが判つたろう。児戯にひとしきことだよ。(秋川一家の惨劇の項参照)ただ偶然にも彼はこの日二個のタイプライターを使つた。
「ところで十八日にかけつけた林田が何故すぐ僕らの所に来ず下
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