のとたんにもつていた劇薬とすりかえたのさ。やす[#「やす」に傍点]の目の前で行われたつて巧にやれば判りつこはない。第一やす[#「やす」に傍点]が目を離さず見ていたかどうかも甚だ疑わしいよ。
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「薬がどうしてもこの時にすりかえられていなければならぬと考える理由は、後のやすの態度でも判るけれども、それ以外に、この時より外にはあの薬がすりかえられることは不可能だつたと思う理由がある。というのはあの完全に貼り付けられている封緘紙[#「封緘紙」は底本では「封縅紙」]さ。あれは完全で中味がかわつていた。これは何を意味するか。すなわち、封緘紙[#「封緘紙」は底本では「封縅紙」]はまだ糊の乾き切らぬうちに一旦はがされ、そのまま又上から貼り直されたのである。すなわち、それは西郷薬局の主人が貼りつけてからいくらも時が経つていなかつたという証拠だ。」
「だつて、それじやあとでやすが誰かに林田のことを話すかも知れないじやないか。第一やすは林田を一体何だと思つたろう」
私は疑わしい点と思われる所をはつきりときいて見た。
「やすは林田を何と思つたか判らない。無論林田はそれまでに秋川家に行つてい
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