「僕には大体のことがもうはつきりして来たような気がするんだ。ねえ伊達君、手数をかけないで男らしく事実を云つてくれないか」
藤枝がきびきびした調子で云つた。
「勿論こうなれば云つてしまいます」
「君のお母さんの遺書という奴ね。一体君はどこにかくしたんだい。家宅捜索で判らなかつたそうじやないか」
「あれですか。ありや僕わざと読みさしの雑誌の間にはさんであつた本屋の広告の間に入れておいたんですよ」
「あはははは。エドガー・ポーの知慧だな。パーロインドレターか。うまいかくし場所だ。ところでそれにはどういうことが書いてあつたかね」
「余程古いもので字もはつきりしていませんが、母の名が記してあつて相手は秋川のおじ[#「おじ」に傍点]さんです。自殺する前に一生の願いとして自分の子をあなたに托す。あなたもすべての罪のつぐないとして立派な男に育ててくれというのです」
さすがに伊達の声音には沈痛な調子があつた。
「ところで昨日君があのピヤノの部屋に入つた時、秋川駿三はもう死んでいたのかね。それともまだ生きていたかね」
最終の悲劇
1
「それが僕にはどうもはつきり判らないのです
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