てよろこんだ、しかし脅迫状はそれから送られなくなつた、この点から僕は君が娘に打たせていたものだと考える。君の娘は、母の命令で打つたタイプライターが意外にも現実となつたので、極度におそれて何と云つても打つことを肯んじなくなつたのだ。第一の事件以後、秋川家に脅迫状が送られているが[#「第一の事件以後、秋川家に脅迫状が送られているが」に傍点]」、無論あれは[#「無論あれは」に傍点]、君の手から送られたものではない[#「君の手から送られたものではない」に傍点]」
 この言葉は、ふしぎそうな顔をしている私に対する説明のようにきかれた。
「ところが、昨日の事件がおこると同時に、伊達正男が捕えられておまけに自白したということになつた。伊達正男は君にとつて可愛い甥だ。これを殺しては大変だ。秋川家に不幸が来るのはさいわいだろうけれど、伊達が疑われようとは君は思わなかつたのだ。それで思いあまつて君は警察にとび込み、伊達の無罪を主張する。一方、自分ののろいの目的はもう達したし、今からかえりみれば今までの罪が余りにおそろしいので、死ぬ気になつたのだ。どうだ君、僕の云つたことは大体に於いてまちがいはないつもりだ
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