な恐ろしい結果を生んだので今更我身が恐ろしくなつたからだ」
 さては、この女が犯人だつたのか。

      8

「君は警部に云つた。『伊達正男は犯人ではない。あの子は何も知らないのだ』と。よろしい。これは私は無条件で承知しよう。しかし、『私が犯人です』という一言を僕は信用することは出来ない。ねえ君、君自身ですら、あの秋川家の殺人事件を知らないのじやないのかね」
 藤枝はこう云つてじつと千代子の顔を見つめた。千代子は驚いた顔をしたが、すぐにそれはあきらめの表情とかわつた。
「君は秋川家を呪うの余り、とんでもない事件を惹起してしまつた。けれど君はその犯人ではない。そう、僕は君が、犯人にあの殺人の動機を与えた点と、ヒステリーの極知らぬまに犯人の機械となつていた点とを責めることは出来る。君は秋川家に、タイプライターで脅迫状を送つた。そうしてこれを郵送した。君は先月の十七日に藤枝真太郎という男のオフィスに電話をかけた。同じ日に敷島ガレーヂという自動車屋に電話をかけてひろ子の足取りをきいている。ところが、第一、第二の事件が起つたので君は痛快を感じながらも驚いてしばらくなり行きを傍観していた、と
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