してはもう少し安静にさせたいのだけれど、あああせつていては却つて本人のためにもよくないし、それに……それにあのままになつてしまうかも知れませんから」
「じや行つてきこうじやありませんか」
 藤枝が警部を促がした。
 里村千代はベッドの中にはいつていたが、ひどく苦しそうだつた。何かしきりにいいたがつているが充分にききとれない。
 警部も、もて余し気味で、相談するように藤枝の方を見た。
「じや、君のいいたいことを僕が云つてやろう。君は耳を働かしてよく僕のいうことをきいていてくれ給え。そうしてまちがつていることがあつたら、そういつてくれ給え」
 藤枝は、千代の枕辺に椅子を持ち出してそれに腰かけた。
「里村千代子、といつたね、君は」
 女は首をたてにふつた。
「里村千代子、結婚する前の名前は村井千代子、君の姉は村井かよ、これが後に伊達かよ子となつた、すなわち伊達捷平の妻である。だから君は、伊達かよ子の妹で、正男の叔母に当るわけだね。君は今日の新聞を見て二つの決心をした。一つは無実の甥を救わねばならぬ、という決心。一つはそれを言つて自殺しようという決心。後の決心は、君が呪いの余り行つたことが意外
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