載している。
 それによると、犯人は伊達正男で昨夜の中にただちに捕まえられ、厳重なる訊問の結果、包みきれず全部昨日の殺人を自白した[#「殺人を自白した」に傍点]という事になつている。しかも駿三殺害の動機は遠く過去に遡つて、今より二十年前、伊達家と秋川家とが悪縁に絡まれたところに端を発しているのだ、というようなことがまことしやかに記されている。
 もつともその悪縁物語というのが何であるかということは詳しく書いてはなかつたが、これで見ると、昨夜藤枝は軽卒にも、記者達に対しておしやべりを敢てしたらしい。
 記事はいずれも確定的で伊達正男が自白したということを記してあること既述の通りである。
 私はしばらくあつけにとられて床の中で煙草をくゆらしながら天井を見つめていた。
 ところへ、あわただしい電話のベルだ。いそいで出て見ると、高橋警部の緊張しきつた声がきこえる。
「小川さんですか。あなた藤枝君が今どこにいるか知りませんか。いいえ、うちにはもういないんですよ。オフィスの方にもいないらしいですが。そうですか。そちらに見えないとすれば……では仕方がありません。もしか来たら私が会いたがつているとしら
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