向平気で、やがて記者連中に別れをつげるとさつさと私のそばにやつて来た。
「どうしたんだい。すつかり社の人達につかまつてしまつたじやないか。おまけに君、大分しやべつていたね」
「なあに、そう驚くことはないよ。あしたの朝、高橋警部が少々機嫌を悪くするかも知れないがね、怒らせついでにもう少し怒つてもらうかな」
「何だ君、そんなにしやべつちまつたのかい」
「うん、まあ明朝の新聞を見るんだね、そうすりや、よく判るよ……さて今日は警部に怒られて大分器量を下げたが、これ位でお別れしよう」
 こういうと藤枝は、プイと流して来た円タクを掴まえるとその儘、
「じや失敬」
と中から声をかけるかと思うともうやみの中に消えてしまつた。あつけにとられている私は、一人になつては仕方がないので、藤枝のふしぎな態度を訝りながらそのままうちに帰つたのであつた。
 これで、あの呪わしい五月一日は終つたのである。
 五月二日の早朝、私は床の中で三、四種の新聞をよんでいた。
 出ている、出ている! 「秋川家の怪事件」「第四番目」などという見出しで昨日の惨劇が大々的に書いてあるが、いずれもその中に「藤枝真太郎氏の談」というのを掲
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