すると共に、駿三が仰向きに仆れるのが見えた。それで何事か判らないが、おどろいて、そのまま逃走した、とまあこういうのです」
警部は語り続けて、プカリと朝日の煙を吐いた。
私は藤枝か林田が何かいうかと思つたが二人とも一言も発しない。
「ところがこの供述は無論全部がほんとうではない。あの窓の所の足跡の工合から見ても、それから被害者が書類をもつていなかつた点からいつても、伊達はあの室の中に侵入していなければならない筈です。この点をどうしても未だ自白しませんけれども、ナニもう直ぐですよ、あそこまで行つていれば。それに、あの倒れていた椅子の足や腕から現場に残されている指紋を悉くとらせてありますから、彼が部屋に侵入した事実は判るでしよう。それから伊達の家を捜索させていますから、書類というのも間もなく探せることと思います。あなた方には大変お手数でした。もういつでもお引取り下さつてよろしい。二人の令嬢はもう暫く調べて一応帰すつもりです。もつともさだ子の方は、伊達との関係上、多少おくれるかも知れませんが。雇人は関係なしと認めたので全部帰してやりました。笹田という老人ももう帰つている筈です」
帰つてい
前へ
次へ
全566ページ中430ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
浜尾 四郎 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング