べたのですが、とうとう伊達もこの事実を認めました。おまけに秋川家の雇人で久という女中が伊達の逃げさる時の姿を見ていますから、これはもはや疑う余地はありますまい」
「それで、伊達は殺人の点を否認しているとすると、何の為に秋川家に行つたというのですか。さだ子にでも会いに行つたというわけなんですかね」
今まで黙つて問答をきいていた林田が口を出した。
「そうです。その通りです」
「それにしちや病人が急にとび出すというのはおかしいですな」
藤枝が云つた。
「そうです。だから私も無論そこを突いて見た。すると彼のいうには、実は今まで警察ではひろ子を疑つているようだつたから安心していた。すると夕方林田さんが見まいに来てくれた時、警察ではひろ子の疑いが全く晴れたという事をきかされたというのです。林田さん、ほんとうですか」
「そうですね。私が見まいに行つてやつた時、その話も出たかも知れませんよ。……ほら、小川君、君に電話をかけてから私は伊達を見まいに行つたのでね」
「それで、こりやまた自分とさだ子に疑いがかかるかも知れぬから少しも早くさだ子にこのことを告げようというので病をおして出かけた、というわけで
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