ちにいた。第三回目の時は林田さん、今回は藤枝さんのいる時に行われた。もしこのままで行く時にはわれわれの信用は全く地に墜ちねばならん。いや、もうすでに落ちているかも知れない。御両君はともかく、私自身は今回の犯人が捕まらぬ時は断然辞職する覚悟です。従来は御両君の今までの功績に敬意を払い、自由に行動をとつていただいたが、今後は私は御両君を全く普通の人同様に取り扱いますから左様おふくみを願い度い。御両君を疑わぬのが私のせめてもの好意と思つて頂きたい」
この最後の言葉はかなり失礼な言といわねばならぬ。しかし今や職を賭《と》してかかつている警部の言としては当然でもあり、また一面甚だ悲痛にもきこえた。
藤枝も林田もどう思つたか判らぬが、表向は全く恐れ入つているように見えた。
「私は今日ここにいた者全部に警察に出頭して貰い度いと思う。失礼だが藤枝さんも小川さんも、それから木沢さんにもおいでを願いたい。林田さんはここにおられなかつたけれども……」
「いや、私も無論行きましよう」
「ではそう願いましよう。家族は勿論です。雇人の二人の女中は今刑事に調べさせていますが……」
この時一人の刑事がいそいでは
前へ
次へ
全566ページ中424ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
浜尾 四郎 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング