の前に立つていたことになるが」
と云つた。さすがは彼、藤枝と同じ推理の上を行つている。
この時、笹田執事がまた室にはいつて来て、
「只今警察の方々が見えました」
と云いながら、あとからつづいて来た高橋警部、野原医師らに軽く会釈した。
「いよいよほつておけん。片つ端から拘束しなくては……藤枝さん、林田さん、一体これはどうしたのです」
警部はひどく機嫌が悪い。
「林田君は全く知らないんですよ、当時うちにいましたから。僕と木沢氏と小川君がこの家にいたのです」
藤枝は手短かにまた今までの話をくり返したが、面倒くさいと思つたのか、駿三の過去の秘密については余りふれず、何か駿三が重要な用を思い出して書類をとりに来たものと説明した。
2
藤枝の話を黙つて聞いていた警部の顔にはいまだかつて見たことのない儼然たる色が浮んでいた。
「そうですか。よく判りました。しかし私は今はつきり御両君に申し上げておきます。第一回の殺人事件の時は別として、その後連続して起つた惨劇はいつも必ずわれわれ皆が、または少くも誰かその一人がいる時に行われている。第二回目の場合は御両君はじめ私自身もこのう
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