、それがまもなく消えると、もういつの間にか元気を取りなおしたと見えて、いつもの頼もしい藤枝になつていた。
「木沢さん、死体を余りいじらぬように、傷を調べて下さい」
木沢氏は、すでに藤枝にいわれるより早く、その方に取りかかつていたらしい。
「けがはたつた一つです。後頭部に大分烈しい傷があります。ほれ、ちよつと頭を上げるとすぐ判ります」
木沢氏はこう云いながら、死体の頭をちよつと上に上げた。
「成程、駿三氏は、立つているところを後からがンとやられたんですがね。……しかし、この頭のそばに椅子が仆れていますね。あるいは仰向けに仆れる時に、この椅子の背で打つたのかも知れませんな」
「そうです。藤枝さん、私はむしろその考えを取りたいです。解剖の行われぬ前にこう断定するのは軽卒ですが私には、この後頭部の傷の為に、こう早く死ぬということはちよつと考えられませんよ」
木沢氏が内心確信あるもののように云つた。
藤枝は、しやがんで駿三の両手をしきりに見ていたが、それから懐中にちよつと手を入れた。
「ねえ小川、駿三氏は重要書類をとりに行くと行つてこの部屋に来たはずだつたね」
さすがは藤枝だ。私があわ
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