だ子の介抱をしていたらしい木沢氏はすぐはいつて来たが、木沢氏も一時そのまま棒立ちになつてしまつた。いろいろな病人に出会《しゆつかい》した木沢氏が、こんなに驚いた位だから、如何に駿三の死体が恐ろしい顔をしていたか判るだろう。
さすがに木沢氏はすぐに気をとりなおして駿三の胸の所をあけて耳をつけていたが、
「駄目です。心臓がとまつています」
と云つて藤枝の顔を見上げた。
藤枝は心もち青くなつた顔を私に向けると、
「小川、すぐ林田にしらせてやれ。林田にしらせてすぐ来てもらつてくれ」
と叫んだ。
こんな事件の場合に、競争者たる林田の助けをかりるとは、藤枝もずいぶん衰えたものだがそれは後になつていう話で、当時は私もまつたく気が顛倒していたのでそんなことを考えるひまもなく、あわてて室外にとび出し、そこに青くなつて慄えているひろ子と笹田執事にあやうくぶつかりかけながら電話室にといそいだ。
林田の所にかけるとすぐ彼は電話に出て来た。
「小川さんですか」
「林田さん、大変です。秋川駿三が殺されました」
「何? 秋川駿三が。ほんとですか。ど、どこでやられたんです。誰にです?」
どういうわけだが
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