変失礼ですが、木沢先生が余り動かぬ方がいいと云われるので」
「結構です。私こそ無理にお願いして申し訳ありません。時にいかがですか、御容態は?」
「いろんなことがひきつづいておこるので、とてもおちつけません。これが一番、いけないんだそうですが」
「お察しします」
「早速ですが何か御用件がおありになるとのことでしたが」
「はあ、そのことです」
藤枝はこう云つて何か重大なことをこれから話そうとするらしく、きつと駿三の顔を見た。
「私は最近一人で旅行をして来ました。そして今帰つたばかりです。私の行つたさきは山口県の今泉という町です。すなわちあなたが今から約二十年前に住んでおられた所です」
「山口県の今泉町?」
駿三は愕然としたらしい。驚き方がかなりひどかつたので、木沢氏が心配そうに腰をうかした。
「そうです。そこは今から二十年前にあなたが住んでおられた所で、そうして同時に伊達正男の父母|捷平《しようへい》夫婦が住んでいた所です。秋川さん、私はあそこで数日かかつていろいろなことを調べて来ました。伊達家と秋川家のあいだのことをくわしく研究しました。その結果、秋川家と伊達家とが宿命的な関係に立つ
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