なんていうことはどれにも出ていなかつた。
こうしてとうとう運命の日、五月一日はやつて来たのである。
朝起きた時、今日は五月一日だなと思つたけれども、私は実は例の妙な予告のことはすつかり忘れていた。
一体、藤枝はいつ帰つて来るのか、それも全く判らないので、私は前日と同様に雑誌社に出ることにした。もつとも例の藤枝の電報のことは決して忘れずにいたので、ひる頃木沢氏へ電話をかけて、伊達の様子をきくとまだよくないということだつた。
メーデーなので方々でいろんな行列が行進する。社内でもそれを見物に出たものなど大分あつたらしい。
午後三時半頃林田から電話がかかつた。
「小川さん、あなた大変御心配のようだつたからおしらせしますがね、ひろ子さんの取調べは今日ですんだようですよ」
「え? 今日で? それで結果は」
「勿論許されて帰つたようです。私もさつき警察へ行つて来ました。ともかくおしらせしておきます」
「どうもありがとう」
私は電話をきると、そのまま社をとび出した。すぐにも行つて祝いをのべてやろう。しかし一旦帰つて着物でもかえて行かねば、と、私はタクシーをつかまえるとすぐうちに引かえした。
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