つこんだシーオリーが立てられている。二十七、二十八両日の諸新聞は殊に猛烈に諸名士の推測を書き立てた。
 よく迷宮入りの事件があると、犯罪捜査官、司法当局高官、法医学者、さては探偵小説家などの推理、空想、憶測が盛んに紙上に掲載されるものであるが、私はこの秋川家の奇々怪々な事件ほど世にセンセーションを起したものを知らない。と同時に、このセンセーション位不愉快なものには私は未だかつて出会わなかつた。というのは、それ程多数の説がひろ子を疑つていたからである。
 私は少しでも彼女の味方になつている論評は今でも悉く暗記している。法医学者の某氏、探偵小説家の某氏、しかして林田英三の説が新聞に出た時、私は心の中でこの三人にどれ位感謝したか判らない。
 林田は自分が、藤枝と共にかなり非難される立場にいる男だけれども、二十八日の夕刊に彼の説というのが出たが、それによると必ずしもひろ子を疑うのは正しくないことになる。
 外の二人は、勿論知合の間柄でもないし、それに写真を見ると、どちらもいやにむずかしそうな顔付をしていてうつかり近付きにくいので、私は早速まず林田のところにその夜かけつけた。
「小川さん、今秋川
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