見ると急にやつれてふけてしまつている。病気とはいいながら、あの颯爽たる面影は失せて衰え切つている。
罪のあるなしにかかわらず、警察に毎日よばれるということが一人の人間にどんなに精神的な苦痛を与えるかということをまざまざと見せつけられて、私は今更ひろ子の身の上を思い黯然たらざるを得なかつた。
しかし伊達との会見は決して愉快なものではなかつた。無論彼本人にとつては人情として無理はないのだが、誰からきいたか彼は、自分の嫌疑がひろ子にうつつて行つた事を知つたらしく、大へん、楽しそうに見えた。
自分の嫌疑がはれた、という単純な喜びか、あるいはひろ子に嫌疑がかかつたということについての喜びか私にはよく判らなかつたけれども、ともかく私にとつては決してうれしいものではなかつたのである。それで私はまもなく彼の所を辞したのであつた。
2
新聞紙は、ひろ子が警察で取り調べられはじめてから、まるで彼女が真犯人であるかのように書き立てた。これは無論、司法主任の態度なり、様子から推察したものらしく(私は責任のある位置にいる高橋警部自身が軽率にも、記者に詳しい考えを述べたとは信じない)相当つ
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