はなみなみのお嬢さんではない。さだ子その他とはダンチ[#「ダンチ」に傍点]に頭がいい。芸術家であると同時に犯罪研究家である。君は彼女の書斎に犯罪の本以外に芸術の本がたくさんあつた事を知つてるだろう」

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 私は、ムーターの絵画史やベッカアのベートホーヴェン伝その他を思い出した。
「この点はやや注意に値すると思うね。彼女は一方に於いてクリミノロオグであるが、同時に芸術家なのだ。ね、芸術家でしかも大犯罪人というものをわれわれは考えることが出来る。しかしここにもう一つ彼女は二十一の女性だというデーターがある。一言にして彼女を批評すると、彼女はめずらしく理性に富んだいい頭をもつてはいるけれども、彼女のクリミノロギーは結局机上の空論の外を出ない。若い女の陷りやすいロマンシングに浸つているにすぎないのさ。彼女のさんざん頭を絞つて考え出した理論がさつきの伊達さだ子共犯説さ」
「どうも少し話がむずかしくなつて来たが……」
「判らないかい。つまりね、高橋警部も案外ロマンティーケルだというんだよ。警部は少々彼女を買いかぶりすぎているのさ、警部のテオリーのような整然たる犯罪は心理上ひろ子に出
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