田やす子という主要なリンクをもつている。これがあるのに二つの犯罪に関係が全くないとは誰が云えるか。第一の犯罪で主要なやす子が偶然[#「やす子が偶然」に傍点]にも第二の事件で、被害者となつている。けだし、プロバビリティーの計算に於いては、極めて考え難い偶然[#「偶然」に傍点]ではないか」
「しかし警部は云うだろう。プロバブルではない。が、ポシブルだとね」
 私は、内心藤枝の説を喜びながらもちよつと、抗議を出して見た。
「無論そうだ。この偶然は決して、ありそうもない、めつたにあることじやない。けれどあり得ることであつて無しとは云えない。しかし小川、このめつたにない偶然が起つたとしてもどうしても説明できないのは駿太郎の死だよ。早川辰吉が偶然にも佐田やす子を殺したと仮定する。しかし彼はどうやつて駿太郎を殺したか。――ひろ子が賢くも断言した通り、唖でない駿太郎が黙つておびき出されて殺される筈はない。彼は誰かよく知つている人に必ずさそい出されたのに相違ないのだ。以上が高橋警部の第一の誤謬だと僕は思う。しかしてこの第二の犯罪でひろ子は立派にアリバイが立つている。強いて彼女を疑えばその共犯者だが、今は
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